研究員コラム Vol.3
「運動不足は足もとから解消!!〜座ってできる足趾エクササイズ〜」
(執筆者:安田良子,対象者:老若男女問わず)
新型コロナウィルス感染拡大に伴い自宅で過ごす時間が増え、運動を十分に楽しめない状況が続いています。
また、在宅勤務が増え、デスクワークの時間が増えている方も多いと思います。
身体の中で唯一地面と接している足部(足首から下)には小さな骨や筋肉がたくさんあり、私たちの身体を支えています。また、足の裏には無数の感覚センサーがあり、足部の動きをサポートしています。日常生活において立ち姿勢や歩く機会が減るとこれらの機能が低下し、何気ないところで転倒するなど多くの弊害をもたらします。また、足部機能が衰えた状態で運動をするとバランス機能が低下し、ケガが発生しやすくなります。さらには、運動パフォーマンスの低下につながり、悪循環となります。
今回は、足部機能を活性化させる足趾エクササイズを2つご紹介いたします。
こちらのエクササイズはデスクワークを行いながらでもできます!
快適に運動できるように足もとから準備していきましょう!
エクササイズの詳細はこちら ⇒ 安田_足趾エクササイズコラム
エクササイズの動画1
エクササイズの動画2
(参考:加賀谷善教:足部・足関節の機能評価と機能的な運動療法を理解する, 教科書にはない敏腕PTのテクニック 臨床実践 足部・足関節の理学療法, 松尾善美監修, 株式会社文光堂, 49-50, 2017. )
研究員コラム Vol.2
「アクティブでいよう―アメリカスポーツ医学会の新型コロナ対策の紹介―」
コロナウイルス(COVID-19)の大流行により、身体活動を維持することが困難になる可能性があることから、
インターネットを通じて一人ひとりが実施できる対策を公開しました。
そこで推奨されている活動を紹介します(一部意訳しています)。
有酸素運動
室内活動
- ・音楽をかけて、家の中や階段の上り下りを10分から15分、1日2~3回程度行いましょう。
- ・好きな音楽に合わせて踊りましょう。
- ・縄跳びをしましょう。
- ・エクササイズビデオを見ましょう。
-
・家庭用のカーディオマシンを使用しましょう。
野外活動(許される場合)
- ・近所を歩いたり、ジョギングしましょう。
-
そのさい、他の人から約2メートル(約6フィート)は離れましょう。
- ・地元の公園で身体を動かしましょう。
-
自然の中での過ごすことは免疫機能を高める可能性があります。
-
帰宅したら手を洗うことを忘れずに。
- ・自転車に乗りましょう。
- ・ガーデニングや芝仕事をしましょう。
-
・家族で身体を動かすテレビゲームをしましょう。
ストレングス運動(筋力向上のための運動)
- ・ストレングス運動アプリをダウンロードしましょう。
- ・筋力トレーニングのビデオを活用しましょう。
- ・ヨガを行う。深い呼吸とマインドフルネスは不安を軽減する効果もあります。
- ・簡単な筋肉トレーニングのやり方を見つけましょう。
- ・しっかりとした椅子を使っての脚のトレーニング
- ・壁やキッチンカウンターに手をついての腕立て伏せ
-
・階段でのレッグランジや片足ステップアップ
この状況下で運動するさいは、免疫機能への影響を考えた運動強度の設定が必要になるかもしれません。
特に、アスリートは考慮すべき点であるといえます。
Stay positive. Stay active. Be smart and safe.
(前向きに、活動的に。スマートで安全にいましょう。)
Q&A Vol.1 ドーピングとは?
(執筆者:中堀千香子)
Qアンチ・ドーピングってなんですか?
A.アンチ・ドーピングとは「クリーンで公正なスポーツを守るための活動」全般を言います。具体的には、ドーピング行為に反対(アンチ)すること、スポーツが公正なものとして成り立つための、教育・啓発や検査といった様々な活動をすることなどです。
Qドーピングのルールは各国で異なるの?
A.世界中の全ての人々が、公平で公正なスポーツに参加することを保証できるよう、アンチ・ドーピングのルールは、世界のどこでも、等しく、同じルールが適用されています。
Q.ドーピングとはなんでしょうか
アンチ・ドーピングのルールでは、スポーツの中で禁止されている物質(禁止物質)とルールに反する方法(禁止方法)があります。
この禁止物質や禁止方法を使って、意図的に競技力を高めること。そして、「これらの行為を隠すこと」がドーピングに該当します。
Q禁止薬物とはどんなものでしょうか
禁止物質・禁止方法は世界アンチ・ドーピング機構(WADA)の禁止表に定められています。
禁止表は、毎年1月1日に更新され、原則12月31日まで有効です。
前年許可されていても、変わる可能性もあるので常にその年の最新版の禁止表を確認する必要があります。
禁止物質は、主に次の3つに分類されます。
1.常に禁止されている物質と方法(どんなときも使ってはいけない
2.競技会において禁止される物質と方法(競技大会中期間中だけ禁止される)
3.特定の競技において禁止される物質(該当競技以外の選手は使ってOK)
2や3のように競技や時期によっては使えるものもあります。しかし、自分の薬がどれに該当するのか、また使用して良い時期なのか、などは自己判断でせず必ず薬を使用する前に専門家に相談してください。
Q禁止方法とはどんなことでしょうか
A.薬を使う以外にも、輸血や自分の血液を冷凍保存しておき、試合の直前に再び体内に入れて酸素運搬能力を高める「血液ドーピング」や細胞、遺伝子に手を加えて競技力を向上させる「遺伝子ドーピング」、ドーピング検査のときに自分の尿を他人の尿へすりかえるなどの「ドーピング検査時の尿のすり替え」などの方法があります。
「治療目的以外の点滴」も該当し、常に禁止されています。
ただし、これらは入院設備を持つ医療機関での治療およびその受診過程、外科手術、又は臨床検査のそれぞれの過程において正当に受ける場合は認められますが、治療目的であることを医師により証明される状況にあることが求められます。
Q. なにがドーピング違反になるの?
A.2015 年1 月1 日から新しいWADA(世界アンチドーピング機構)より全部で10 のドーピング違反となる行為が示されました。
1.検査で提出された尿や血液に禁止物質があること
採取された尿や血液から禁止されている物質やそれに関わるもの、目印になるものが発見されると違反になります。
2.禁止物質や禁止されている方法を使用すること、その使用を企てること
禁止されている薬や方法に関して、自身がそれを使おうとしようと計画したこと
がみつかると、たとえ使わなかったとしても違反になります。
3.ドーピング検査から逃げたり、拒否をすること
ドーピング検査を受けることを、拒否したり、検査から逃げたりすると違反になります。
4.居場所情報を報告義務に関しての違反
トップレベルの選手には、今どこにいるかという居場所を報告する義務のある人がいます。その人達は自分の今いる場所を報告する義務があります。それを忘れて報告をしなかった場合には違反になってしまいます。
5.ドーピング・コントロールの妨害をしたり、妨害しようとしたりすること
ドーピング検査のときに、なにかを隠したり、嘘をついたり、怪しい行動をすると違反になります。
6.禁止物質または禁止方法を正しい理由がなく持つ、あるいは行うこと
ドーピングで禁止されているような薬品は、自身がただ持っているだけでも違反になってしまいます。病気の治療で必要な場合など、きっちりとした理由がある場合には、必ずTUE(治療使用特例)を申告しましょう。
7.禁止物質、あるいは禁止方法を売ったり、買ったり、お金を取って教えたりすること
8.周りの人が、選手に対して禁止物質や禁止方法を使用したり、計画したりすること
9.アンチ・ドーピングの違反に関わるような行動を選手に促したりすること
選手以外のスタッフが、アンチ・ドーピングの規則違反に関して、知っていて隠していたり、「これがいいよ」などと教えたり、手伝ったりすることは許されません。
10.アンチ・ドーピング違反に関わった人と関係をもつこと
アンチ・ドーピング違反で資格停止になっている先生やスタッフと、一緒に活動したり、教えてもらったりすると、自身が違反になってしまいます
引用:日本水泳連盟 「アンチドーピングのい・ろ・は」
Qドーピングのことを相談する専門家ってどんな人?
A.医師による「スポーツドクター」や薬剤師による「スポーツファーマシスト」はスポーツのドーピング防止について専門知識を持っています。
スポーツドクターとは認定団体により「スポーツドクター」(日本スポーツ協会公認)「スポーツ医」(日本整形外科学会認定) 「障がい者スポーツ医」(日本障がい者スポーツ協会)などの名称がありますので、こういった名称を検索して近くのお医者さんを探してみてください。
またお住いの地域の薬剤師会ではメールなどで薬事相談にのってくれたりお近くのスポーツファーマシストを探してくれたりすることもありますので相談してみましょう。
Q公認スポーツファーマシストってどんな人?
A.公認スポーツファーマシストとは、認定薬剤師の一つで、ドーピング防止などの専門知識を持つ薬剤師です。スポーツファーマシストになるには、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)の定めたカリキュラムを修了し、試験に合格する必要があります。
スポーツファーマシストは最新のアンチ・ドーピングの基礎知識を有しており、スポーツの競技者や指導者に医薬品の適正使用とアンチ・ドーピングに関する情報提供を行ったり、学校などでアンチ・ドーピングの啓発活動をしたりドーピングを未然に防ぐ活動が主な仕事内容です。
Q治療のためにどうしても禁止物質を使用したいのですが?
A.治療のために禁止物質がどうしても必要な場合には、治療使用特例(TUE)を申請します。
所定の用紙(TUE 申請書)に確認書と医療情報を添えて申請し、審査で許可されれば使用できます(承認書が送られてきます)。ただし、治療上必要であり、他に治療法がなく、使用しても競技力を高めないものに限定されています。TUE 申請書類は、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)のTUE 委員会へ提出します。
Q花粉症がひどくて薬を飲みたいのですが禁止物質が入っていることがあると聞きますが・・
A.
①病院の場合
医師に自分がドーピング検査の対象となる可能性があることを伝え、禁止物質が含まれない薬を処方してもらってください必ず伝えることが大事です。
②ドラッグストアや薬局の場合
禁止物質が含まれていないか「薬剤師会ドーピング防止ホットライン」または「スポーツファーマシスト」に確認してください。
▶︎次回はドーピングについて
研究員コラム Vol.1
(執筆者:中堀千香子 対象:中高生向け)
衰える筋力・ウイルスに負けない過ごし方
~「自宅待機」による運動不足解消法~
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、外出を控えていると、家にいて体を動かすことが少なくなっていませんか?
1日中自宅にいると運動不足になり、心身の不調の要因にもなってしまいます。
身体を使わない生活は実はとても筋肉を衰えさせてしまいます。
筋肉は身体でも最も大量に脂肪と糖質を燃やす器官で、炭水化物の約90%は筋肉と脳で消費されるようになっています。
このエネルギーを大食いしてしまう筋肉は、動かさないと身体から厄介者認定され、早々にそぎ落されて衰えてしまいます。
筋肉が衰えると、その分代謝が落ちて脂肪が溜まりやすくなり、高血圧や動脈硬化などの病気のリスクが高まります。
特にエネルギー消費の大きい臀部や脚などの下半身に代表される大きな筋肉はどんどんそぎ落とされます。このため筋肉に刺激を加える「運動」は筋力の維持のためにもぜひ実施してください。
またこの期間、ウイルスから身体を守るためには「免疫力」を高めることが大切です。免疫力を高めるには体温を上げる「運動」、バランスが良く腸内環境を整える「栄養」、心身の回復のための「睡眠」この3つをバランスよく取り込む必要があります。
「運動」はこの3つのサイクルを円滑に回すための起爆剤となります。
3密(密閉・密集・密接)を避け、筋肉を落とさないように筋トレをし、ウイルスを寄せつけないよう体温を上げて乗り切りましょう!
今回は運動不測を解消するために体温を上げ、筋トレにもなる家でもできるトレーニングを紹介します。
すべて10回から12回フォームに気を付けてリズムよくおこなってみてください。
❶ヒンズータッチ(体幹筋…基礎代謝アップ)
- お尻を天井に向けて高く突き出す
- 顎を下げない
- 対側の足関節付近にタッチ
- お尻を落とすときは踵から頭まで一直線に
❷フォワードランジ(大腿四頭筋…下肢筋力アップ)
- 足の裏全体で着地する
- しゃがみ込んだ足の膝が十分床に近づくまで沈める
- 立ち上がりは前側の脚を強く蹴る
❸背筋・肩甲骨エクササイズ① ②
(僧帽筋・広背筋…猫背の姿勢改善)
- 上半身は反り過ぎない
- 両肘を背中でつけるイメージで肩甲骨を動かす
- 顔は下向き
- 棒やタオルで代用可
- 手の幅は頭の後ろで手を組んで
- そこから肘を伸ばした広さを目安に
部活動の休止やオンライン授業などで身体を動かしていないとストレスを感じることが多くなると思います。
このような環境は感情を制御する脳機能が低下してしまい感情コントロールが難しくなってしまった状態です。
運動は全身血流を促進し、脳へ血液を運ぶことで脳機能を刺激します。
家で時間を見つけてこまめに運動を行い、運動不足解消と心身のリフレッシュに努めましょう。
ウイルス拡大の一刻も早い収束と皆さんの健康を願っています。